夜、布団に入った途端に咳が激しくなり、なかなか眠れなくなってしまう、そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。日中は気にならなかった咳が、夜になると何らかの原因で悪化するケースもあります。

十分な睡眠がとれない日が続くと、体力が低下するだけでなく、翌日の日中の集中力や活動にも影響を及ぼす恐れがあります。

この記事では、夜間に咳が悪化した場合の具体的な対処法、さらに医療機関を受診すべき体のサインについても詳しく解説します。

咳が出て寝られないときの対処法

つらい咳でなかなか眠れない夜には、症状を和らげる工夫を取り入れてみることが大切です。ここでは、すぐに実践できる対処法をいくつかご紹介します。

温かい飲み物で喉を潤す

咳が気になるときは、まず十分な水分補給で喉を潤すことが大切です。乾燥した気道が潤うと刺激が和らぎ、咳も落ち着きやすくなります。ただし、冷たい飲み物はかえって喉を刺激する場合があるため避けましょう。

おすすめは白湯やカフェインを含まないハーブティーです。ゆっくり時間をかけて飲むことで、湯気が鼻や喉の粘膜を温め、潤してくれます。

喉や首元を温める

喉や首元の冷えは、気道を過敏にさせて咳が出やすくなる原因の一つです。特に寝ている間は体温が下がりやすく、首周りの冷えが気になる方も多いでしょう。そのようなときは、就寝時にネックウォーマーや柔らかいガーゼなどを首に巻いて温めるのがおすすめです。首元を温めることで血行が促進され、喉周辺の筋肉や気道の緊張が和らぐと考えられています。

また、首を覆うことで呼吸時に吸い込む空気も体温に近い温かさを保ちやすくなり、冷たい空気による刺激を減らせます。快適な呼吸環境を整えるためにも、締めつけすぎずゆったりと巻くことがポイントです。

寝る姿勢を工夫する

仰向けやうつぶせで寝ると、痰や鼻水が重力の影響で喉の奥に流れ込みやすくなり、これが刺激となって咳を引き起こすことがあります。特に咳が続いている場合は、横向きで寝ることをおすすめします。

横向きになることで気道が確保されやすくなり、呼吸が楽になるだけでなく、痰や鼻水の流れ込みも抑えられます。さらに、枕やクッションで上半身を少し高くすると、気道への圧迫が軽減されて咳が出にくくなる傾向があります。抱き枕やバスタオルを使い、寝ている間の体勢を安定させるのも効果的です。

部屋の湿度を保つ

寝室が乾燥していると喉の粘膜が乾き、咳が出やすくなります。加湿器を使って部屋の湿度を上げれば、喉への刺激が和らぐでしょう。加湿器がない場合は、濡れタオルを枕元にかけたり、洗濯物を室内に干したりするだけでも十分に効果があります。

また、不織布マスクの内側に濡らしたガーゼを入れて寝ると、喉の保湿にもつながります。ただし、湿度が高くなりすぎるとカビやダニが繁殖する原因にもなるため、加湿器の向きや加湿のしすぎ、加湿器内のカビの発生には十分注意しましょう。

ハチミツの抗炎症作用を活用する

ハチミツは天然の抗菌・保湿成分を含み、咳を和らげる効果が期待できます。実際に、動物実験ではハチミツに含まれる特定の成分が咳を抑える作用を示したとの報告もあります。

寝る前に少量のハチミツをなめたり、温かい飲み物に混ぜたりして取り入れる方法もおすすめです。喉のイガイガ感が気になる方は、一度試してみるのもよいでしょう。

出典

こんな咳は要注意!放置してはいけない6つのサイン

咳の多くは風邪など一時的な感染症によるもので、安静にしていれば自然に回復するケースがほとんどです。しかし、なかには注意が必要な咳もあり、思いがけない病気が隠れている場合も考えられます。つらい症状を長引かせないためには、体が発するサインを見逃さないことが大切です。

咳が次のような特徴に当てはまる場合、単なる風邪とは異なる病気が隠れているかもしれません。

    • 咳が3週間以上止まらない
    • 息苦しさや胸の痛みがある
    • 高熱が何日も続いている
    • 痰が大量に出る、痰に血が混じっている
    • 体重が知らないうちに減っている
    • 夜中に何度も咳で目が覚める

      これらの症状は、気管支炎や肺炎、気管支喘息、肺がんなどのサインである可能性もあります。

      早めに医師の診察を受け、適切な検査と診断を受けることが、重症化の予防や早期の改善につながります。


      その咳、慢性咳嗽(まんせいがいそう)かもしれません

      咳が8週間以上長引いている状態を「慢性咳嗽(まんせいがいそう)」と呼び、決して年単位で続いているものだけが「慢性」ではありません。その原因は個人によって異なり、原因が特定できれば治療・対処できるかもしれません。詳しくは、「慢性咳嗽とは?」をご覧いただき、咳で困っている場合は最寄りの病院やクリニックに相談ください。

      長引く咳には、
      病気が隠れているかも
      しれません。

      放っておくと重症化する可能性がありますので、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
      専門医が原因を特定し、あなたに合った治療法を提案します。いますぐ最適な医療機関を検索しましょう。

      症状を上手く伝えられず、治療につながっていない方もいるかもしれません。そんな方は受診サポートシート(保存可能)もご活用ください。