咳き込んで眠れない日々を送っていませんか? 風邪やアレルギーなど、咳の原因はさまざまですが、つらい咳を何とかしたいと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。「なかなか病院に行く時間はないけど、まず生活の中で何かできることはないだろうか?」そんな方におすすめなのが、自宅で簡単にできる「ツボ押し」です。この記事では、咳にかかわるツボ押しのポイントと注意点を紹介します。

咳に効くツボ

体には咳をつかさどるツボが数か所存在します。ここでは、咳と関係が深い代表的なツボを紹介します。

首の後ろ:定喘(ていぜん)

首の後ろの一番出っ張った骨の下にあるくぼみから、親指幅1本分外側の所にあるツボです。咳止めや喘息の症状の軽減に効果が期待できるとされ、手で優しく押すかカイロなどで温めるのがポイントです。

咳や喘息にとても効果的

胸:天突(てんとつ)

気管支喘息などに伴う激しい咳に対して効果的とされています。両側の鎖骨の中間部分にあるくぼみに指をひっかけて、身体の下に押し込むようにゆっくり押します。気持ち良いと感じる程度に押すのがポイントです。

激しく止まらない咳に効果的

鎖骨付近:中府(ちゅうふ)

鎖骨の外側の端にあるくぼみから親指幅1本分下に降りたところにあるツボで、肺の働きを改善し胃の働きを整え食欲が低下しているときにも効果が期待できるとされています。中指を当てて、肌に向かって垂直に押すのがポイントです。

咳と風邪で食欲が低下しているときにもお勧め

手:尺沢(しゃくたく)

肘を軽く曲げたときに浮き出る、上腕二頭筋腱という太い腱の親指側にあるツボです。肘の内側でへこんでいる箇所を押すことで、喉の痛みや腫れ、呼吸器系の不調に効果が期待できるとされています。

のどの痛み・腫れや呼吸器系の不調に効果的

ツボ押しのポイント

ツボ押しの効果を実感するための、押し方のポイントをご紹介します。

強めに押す

鈍い痛みを感じるツボをやや強めに押すことで、神経の興奮を抑え、咳を緩和する効果が期待できます。ただ、強く押し過ぎると腫れたり痛んだりするほか、皮下出血を起こす可能性もあるため注意が必要です。

呼吸に合わせて押す

焦ってツボ押しをすると逆効果になることもあります。呼吸を意識して、吐いたときに力を入れ、吸ったときに力をゆっくり抜きながら押すことが大切です。

ツボ押しをする際の注意点

ツボ押しは咳に効果的である一方で、やり方によっては逆効果になってしまうことも少なくありません。ここでは、ツボ押しをする際の注意点を紹介します。

お酒を飲んだ後にツボ押しはしない

お酒を飲んでアルコールが体内に残っている状態でツボを押すと、血流を過剰に良くしてしまい不調の原因になりかねません。咳が出ているときはお酒や辛い物などの刺激物も控えましょう。

力加減に注意する

強く押しすぎてしまうと体がこわばってしまい、咳を悪化させてしまう可能性があります。「気持ち良い」と感じられるくらいの力とスピードで押すように心がけましょう。

ツボ押し以外で咳を和らげる方法

ツボ押し以外にも日常生活の中で様々な対処法があります。ここでは、代表的な3つの対処法を紹介します。

横向きに寝る

うつ伏せ寝や仰向け寝よりも横向きの方が、気道が広がり空気の通り道を確保できるため、夜間の咳を和らげられることがあります。また、横向きや上半身を少し高くすると呼吸がしやすくなり、鼻水が喉の奥に流れにくくなるため咳を減らすことができます。特に胃食道逆流のある場合は左を下にして寝ることが良いとされます。

こまめに水分をとる

喉が乾燥すると喉が刺激され咳が出やすくなりますので、こまめに水分をとるようにしましょう。また、うがいを習慣付けることで、喉を洗浄し口の中や喉のウイルスやアレルゲンなどを取り除くのに効果的です。

マスクを着ける

人が多い場所に出かける場合など、外出時はマスクを着用するようにしましょう。ウイルスや細菌の飛沫感染やホコリ、冷気、アレルゲンなどを吸い込む量を減らすこと、乾燥を防ぐことが大事です。

まとめ

ツボ押しは、古くから伝わる自然療法の一つです。しかし、かならずしも全ての咳に効果があるわけではありませんので注意が必要です。症状が続く場合は、必ず医師に相談してください。ツボ押しは、あくまで補助的な対処法として活用することをおすすめします。


その咳、慢性咳嗽(まんせいがいそう)かもしれません

咳が8週間以上長引いている状態を「慢性咳嗽(まんせいがいそう)」と呼び、決して年単位で続いているものだけが「慢性」ではありません。その原因は個人によって異なり、原因が特定できれば治療・対処できるかもしれません。詳しくは、「慢性咳嗽(まんせいがいそう)とは?」をご覧いただき、咳で困っている場合は最寄りの病院やクリニックに相談ください。