8週間以上続くせきを慢性咳嗽といいます1)

せきは専門用語で咳嗽(がいそう)と呼ばれ、体内から異物やウイルス・細菌などを出すための反射として、重要な役割を担っています。
せきが続いている期間により、3週間未満の急性咳嗽(きゅうせいがいそう)、3週間以上8週間未満の遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)、8週間以上の慢性咳嗽(まんせいがいそう)に分けられ、考えられる原因がそれぞれ違います(図1)。

図1 せきが続いている期間別の分類

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せきが続いている期間別の分類
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咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019. 東京:メディカルレビュー社;2019.より作成

急性咳嗽の原因の多くは風邪(かぜ)を含む気道感染症ですが、8週間以上せきが続く慢性咳嗽は、感染症以外の病的な原因であることが多くなります。

日本全国の慢性咳嗽患者数は約300万人と推計されています2)3)

日本のインターネット調査では、20歳以上で8週間以上せきが続いている患者さんの割合が2.9%であったことから、慢性咳嗽患者数は約300万人と推計されます。
そのうち、せきについて医師に相談したことがある患者さんは全体の半数以下(44%)であり、16%の患者さんは治療に満足していませんでした(図22)3)

図2 慢性咳嗽患者さんの実態

慢性咳嗽患者さんの実態
調査方法
2019年に日本で実施された慢性咳嗽に関するインターネット調査。20歳以上の回答者24,015人を対象に、遷延性/慢性咳嗽有症率や受診率、治療内容、診断された疾患、治療満足度などを調査した。

Tobe K, et al. BMJ Open Respir Res. 2021; 8(1): e000832.
【利益相反】本研究はMSD株式会社の出資により実施され、著者のうち7名が同社の社員である
厚生労働省.令和元年(2019)人口動態統計.より作成

引用文献
1) 咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019. 東京:メディカルレビュー社;2019.
2) Tobe K, et al. BMJ Open Respir Res. 2021; 8(1): e000832. 【利益相反】本研究はMSD株式会社の出資により実施され、著者のうち7名が同社の社員である
3) 厚生労働省.令和元年(2019)人口動態統計.