せきの原因と考えられる病気に応じた治療を行います。

せきの原因となっている病気がわかった場合

診断された病気に応じて、以下の治療を行います(表1)。

表1 せきの原因となっている病気に対して使われる治療薬

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主な治療薬 主な作用 慢性咳嗽の原因となる主な病気
吸入ステロイド薬※1 気管支の炎症を抑えます。 ぜん息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)
気管支拡張薬
(吸入薬、貼り薬、飲み薬)※1
気管支を広げます。
抗コリン薬(吸入薬)※1 気管支が狭くなるのを抑えます。
たんの量を減らします。
抗ロイコトリエン薬(飲み薬) アレルギー反応にかかわる
ロイコトリエンという物質を抑えます。
ぜん息、アレルギー性鼻炎
ステロイド薬(飲み薬) 炎症を抑えます。 ぜん息、間質性肺疾患など
去痰薬(飲み薬) たんを出しやすくします。 ぜん息、慢性気管支炎、
慢性副鼻腔炎、気管支拡張症など
生物学的製剤(注射) 炎症にかかわる物質を抑えます。 ぜん息、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎
抗ヒスタミン薬(飲み薬) アレルギー反応にかかわる
ヒスタミンという物質を抑えます。
アレルギー性鼻炎
点鼻ステロイド薬 鼻の炎症を抑えます。
抗菌薬(飲み薬、注射、吸入薬) 炎症の原因となっている細菌を
死滅させたり、増殖を抑えます。
肺結核、非結核性抗酸菌症など
免疫抑制薬(飲み薬) 免疫にかかわる細胞の働きを抑えます。 間質性肺疾患など
抗線維化薬(飲み薬) 線維化によって肺が硬くなるのを抑えます。 間質性肺疾患
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※1
吸入薬として2剤もしくは3剤配合剤が使用されることもあります。
肺がんでは、薬物療法や放射線療法、外科療法(手術)、緩和療法が行われます。

せき以外の症状や異常がなく原因となっている病気がすぐにわからない場合

問診、診察、胸部X線などの検査の結果、せき以外に異常が見られずすぐに慢性咳嗽の原因がわからない場合には、吸入薬や飲み薬などが処方されることもあります。

十分な治療を行ってもせきが残る場合(難治性の慢性咳嗽)

原因と考えられる病気の治療を十分に行ってもせきが改善しない場合は、難治性の慢性咳嗽の可能性を疑い、追加の治療や生活習慣の見直しを行います(表2)。

表2 十分な治療を行ってもせきが残る場合

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主な治療 主な作用や見直しの内容
P2X3受容体拮抗薬 せきにかかわる神経の過敏状態を抑えます。
生活習慣や環境の見直し 水分補給や鼻呼吸、腹式呼吸を習慣付けます。
食事やカフェイン・アルコール摂取量を管理します。
せきを我慢する習慣を身に付けます。
せきの誘因を自覚し可能な範囲で避けます。
ストレスを管理します。 など
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引用文献
咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019. 東京:メディカルレビュー社;2019.